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海外で広がる「ノンアル文化」
ドイツ・スペイン・アメリカで
何が起きているのか?

近年、日本でも急速に存在感を高めているノンアルコールビール。
しかし実は、この流れは日本だけの特殊なブームではありません。

世界では今、「お酒を完全にやめる」のではなく、シーンに応じてアルコールを飲み分ける 「ソバーキュリアス(Sober Curious)」 や、 「モデレーション(節度ある飲酒)」 という考え方が広がっています。

その中心にあるのが、高品質化したノンアルコールビールです。

世界市場は急拡大している

世界最大級の飲料市場調査会社 IWSR によると、ノンアル・低アルコール市場は現在も成長を続けており、特に「ノンアルコール」が市場拡大を牽引しています。

【IWSRによる世界市場データ】

・世界主要10市場におけるノンアル・低アル市場は前年比 +5%
・2023〜2027年の年平均成長率(CAGR)は +6%
・ノンアルカテゴリー単体では +7% 成長予測

さらに2025年には、

・ノンアルビール世界販売量は前年比 +9%
・ノンアルビールは「エール」を抜き、世界第2位のビールカテゴリーになる見込み

と報告されています。

つまり現在のノンアル市場は、単なる一時的な健康ブームではなく、 世界規模の飲酒文化変化 として定着し始めているのです。

ドイツ:「ビール大国」がノンアル先進国になった理由

特に象徴的なのがドイツです。

ドイツは世界有数のビール文化を持つ国ですが、同時にノンアルコールビール市場も非常に成熟しています。

IWSRによると、ドイツやスペインでは、ノンアル・低アル飲料が酒類市場全体の10%以上を占める水準まで成長しています。

これは酒類市場として見ると、非常に大きな数字です。

【ドイツでノンアルが広がった背景】

・車社会による飲酒運転意識
・スポーツ後のリフレッシュ需要
・健康志向の高まり
・宗教的理由ではなく「選択肢」としてのノンアル定着

またドイツでは、 「ビールとして造ってからアルコールを抜く」 脱アルコール製法が広く普及しており、日本よりも早い段階から “本物に近い味” の追求が進んでいました。

そのため、

「ノンアルだから我慢して飲む」

ではなく、

「美味しいから普通に選ぶ」

という文化が形成されています。

ドイツ産ノンアルについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。
▶ ドイツ産ノンアルコールビールの原材料がシンプルな理由

スペイン:「ランチでノンアル」が普通

スペインも非常に興味深い国です。

スペインでは昼食時のビール文化が根付いていますが、近年は 「午後も仕事があるから」 という理由でノンアルコールビールを選ぶ人が増えています。

特に 0.0% ビールは、

・レストラン
・バル
・カフェ

などでも自然に提供されており、「飲めない人向け」ではなく、 “普通の選択肢の一つ” として定着しています。

IWSRもスペインを、世界でも特に成熟したノンアル市場の一つと位置づけています。

アメリカ:「ソバーキュリアス」が若年層に拡大

アメリカでは、若年層を中心にアルコール離れが進んでいます。

IWSRによれば、ノンアル市場の新規参入者は若年層が中心であり、特に Gen Z(Z世代)ミレニアル世代 が市場拡大を牽引しています。

また近年は、

・Dry January(1月禁酒)
・Sober Curious(ソバーキュリアス)
・Damp Lifestyle(完全禁酒ではなく飲酒量を減らすライフスタイル)

といった文化がSNS経由で急速に拡大しています。

重要なのは、彼らが「一生お酒をやめたい」と考えているわけではない点です。

IWSRでは、現在のノンアル利用者の多くを、

「シーンによってアルコールとノンアルを使い分ける人」

と分析しています。

つまり、

・平日はノンアル
・ジム後はノンアル
・翌日仕事の日はノンアル
・パーティーでは普通のお酒

という 「飲み分け文化」 が広がっているのです。

WHOも「アルコールリスク啓発」を強化

ノンアル市場拡大の背景には、世界的な健康意識の変化もあります。

世界保健機関(WHO)は近年、アルコールによる健康リスクについて発信を強めています。

【WHOの提言】

WHOは2023年、

「健康への影響という観点では、安全な飲酒量は存在しない(No level of alcohol consumption is safe for our health)」

と発表しました。

また2025年にはWHO欧州地域事務局が、

・アルコールとがんリスクの認知不足
・警告表示の必要性

について提言を行っています。

こうした流れもあり、海外では 「飲まない自由」 や 「量を減らす選択」 が以前より自然に受け入れられ始めています。

ノンアルコールビール市場の拡大は、単なる商品トレンドではなく、 社会全体の価値観変化 とも密接に関係しているのです。

日本はむしろ“世界最先端クラス”の市場

実は、日本は世界でもかなり特殊な市場です。

日本では、

・コンビニ
・自販機
・居酒屋
・ファミレス

などでノンアルコールビールが非常に高いレベルで普及しています。

さらに、

・糖質ゼロ
・プリン体ゼロ
・カロリーオフ
・微アル
・クラフト系

など、商品多様化も世界トップクラスです。

IWSRでも、日本は世界の成熟市場の一つとして扱われています。

つまり日本は、「海外より遅れている」のではなく、 むしろ世界有数のノンアル先進国 なのです。

まとめ:ノンアルは「我慢の飲み物」から「選ぶ飲み物」へ

かつてノンアルコールビールは、

・運転手用
・妊娠中用
・仕方なく飲む代替品

というイメージが強くありました。

しかし世界では今、

・健康管理
・パフォーマンス維持
・睡眠
・翌日の仕事
・トレーニング
・飲酒量コントロール

といった目的で、 “積極的に選ばれる飲料” へと変化しています。

「飲む・飲まない」の二択ではなく、

“今日はノンアルを選ぶ”

という柔軟な文化。
それが今、世界中で広がっている新しい飲酒スタイルなのかもしれません。

【参考文献・出典】
  • IWSR, “No-alcohol share of overall alcohol market expected to grow to nearly 4% by 2027” (2023)
  • IWSR, “Growth of $4bn+ Expected from No-Alcohol Category By 2028” (2024)
  • IWSR, “Key statistics: the no-alcohol and low-alcohol market” (2023)
  • IWSR, “More than moderation: the long-term rise of no and low” (2025)
  • WHO, “No level of alcohol consumption is safe for our health” (2023)
  • Reuters, “WHO calls for tobacco-style cancer warning labels on alcoholic drinks across Europe” (2025)
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