「無添加」と「ゼロ」は、じつは別の種類の表示です ― 表示のしくみを、協会が解説します

「無添加」と「ゼロ」は、じつは別の種類の表示です ― 表示のしくみを、協会が解説します

「無添加」と「ゼロ」は、
じつは別の種類の表示です
― 表示のしくみを、協会が解説します

売り場で缶を手に取ると、「糖質ゼロ」「プリン体ゼロ」「香料無添加」といった言葉が並んでいます。どれも「入っていない」という意味に見えるので、同じ種類の表示だと思っていらっしゃる方は多いかもしれません。私たち自身も、調べてみて「そうだったのか」と思いました。

じつはこの二つは、制度の上ではまったく別の扱いになっています。そして2022年、消費者庁が「無添加」「不使用」という表示について、気をつけるべき10の型を示しました。ご存じない方も多いと思いますので、今回はここを整理します。

【結論】
・「ゼロ」には、量の基準があります(飲料は100mlあたりの量で判定)
・「無添加」「不使用」には、食品表示基準に特段の規定がありません。事業者が任意で行っている表示です
・ただし例外がひとつあり、「糖類を添加していない」だけは、名乗るための条件が決められています
・ただし、読む人に誤解を与える書き方はできません。そこで2022年3月30日、消費者庁が気をつけるべき書き方を10通りに整理しました
※ このガイドラインは「無添加」表示を一律に禁止するものではありません。また、該当するかどうかは「ケースバイケースで全体として判断する」とされています(ガイドライン本文)。
※ 本記事は表示の制度についての解説です。食品添加物は、安全性の評価を経て使用が認められているものです。

「ゼロ」のほうには、数字の基準があります

「糖質ゼロ」「糖類ゼロ」は、食品表示基準に「0と表示することができる量」が決められています。飲料の場合は100mlあたりで判定され、糖質・糖類はいずれも0.5g未満であれば「0」と表示できます。

つまり「ゼロ」は、量をはかって、決められた線を下回っているかどうかの話です。この点はくわしく別の記事で書いていますので、あわせてご覧ください。

→ 「糖質ゼロ」と「糖類ゼロ」は、何が違うのか

「無添加」「不使用」のほうには、決まった定義がありません

いっぽう「無添加」「不使用」は、事情がまったく違います。消費者庁のガイドラインには、こう書かれています。

「食品表示基準上、食品添加物が不使用である旨の表示に関する特段の規定はなく、現状では、食品関連事業者等が容器包装に、任意で『無添加』、『不使用』等の表示を行っている」
― 消費者庁「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」(令和4年3月30日)

実際に食品表示基準の条文を全文確認してみると、「無添加」「不使用」という言葉は一度も出てきません。「ゼロ」のように「この量を下回れば名乗れる」という線が引かれていないのです。

ですから「無添加」と書かれていても、何が添加されていないのかは、その表示だけでは決まりません。そこを読み手が推し量ることになります。

例外がひとつ。「糖類を添加していない」には条件があります

ただし、ひとつだけ例外があります。「糖類を添加していない」という表示には、食品表示基準で条件が決められています。次の4つをすべて満たす場合に表示できる、とされています。

  1. 砂糖などの糖類を、いっさい足していない
  2. 糖類の代わりになるものも使っていない
  3. 製造の途中で、糖類が増えていない
  4. 糖類がどれだけ入っているかを表示している

二番目がおもしろいところです。糖類を抜いたうえで代わりのものを入れていたら名乗れない、という考え方になっています。「糖類無添加」と書かれていたら、こういう条件をくぐってきた表示なのだと思っていただくとよいかもしれません。

基準はなくても、「誤解させる書き方」はできません

決まった定義がないとはいえ、何を書いてもよいわけではありません。食品表示基準には、読む人に誤解を与える表示をしてはいけないという決まりがあります。

ただ、それだけでは「どんな書き方がまずいのか」が分かりません。そこで消費者庁が2022年に、気をつけるべき書き方を10通りに整理しました。全部は細かい話になるので、選ぶときに役に立ちそうな3つだけご紹介します。

1. 何が「無添加」なのか、書いていないもの

ただ「無添加」とだけ書いてあると、何を入れていないのかが分かりません。読む人がそれぞれ想像することになり、その想像が作り手の意図とずれてしまうことがあります。ですから「何が」無添加なのかまで書かれているかを見るのが確実です。

2. 「無添加だから安全」と結びつけたもの

これは協会としても大事だと思ったところです。食品添加物は、安全性を確かめたうえで国が使用を認めているものです。ですから作り手が独自に「無添加だから安全」と語るのは難しく、誤解を招くとされています。

「無添加=安全、添加物=危険」という単純な図式は、制度の側では採られていません。

3. 「人工甘味料不使用」のような書き方

意外に思われるかもしれませんが、これも挙げられています。食品添加物には自然に由来するものも人の手で作ったものもあり、どちらも同じように使用が認められています。そのため制度の側では「人工」「合成」「天然」という区切りをもう使っておらず、「人工」「合成」という言葉は2020年7月に食品表示基準から削除されました(切り替えの期間が2022年3月末まであったので、見覚えのある方も多いと思います)。

すでに使われていない区切りを「不使用」と組み合わせると、言葉の印象だけで実際より良いものに見えてしまう、という理由です。

じつは、表示されていない添加物もあります

もうひとつ、知っておくと役に立つことがあります。添加物のうち、次の2つはそもそも表示しなくてよいことになっています。

  • 加工を助けるために使われ、できあがる前に取り除かれるもの
  • 原材料を作る段階で使われていて、その食品にはごくわずかしか残っていないもの

ですから、原材料表示に書かれていないことは、「いっさい関わっていない」と同じ意味ではありません。

これは「だから表示は信用できない」という話ではありません。表示は、決められた範囲を正確に伝えるものです。そこを知っておくと、表示ともう少し上手に付き合えます。

では、どう読めばいいのでしょうか

協会としてお伝えしたいのは、どちらの作り方が上ということではないという一点です。

麦芽とホップを中心に組み立てたものも、香料や酸味料で味を設計したものも、どちらも作り手の技術と工夫です。添加物を使わない設計にも、使って狙った味を精密に組み立てる設計にも、それぞれの狙いがあります。協会はそこに順位をつけません。

そのうえで、表示の読み方として役に立ちそうなことを並べておきます。

  • 「ゼロ」は量の話。飲料は100mlあたりで判定されている
  • 「無添加」「不使用」は入れたかどうかの話。基準はないので、何が無添加なのかを見る
  • いちばん確かなのは、裏面の一括表示欄。目立つ文字より、こちらに情報が集まっている

消費者庁も、「無添加」の文字が目立ちすぎることで裏面を見る妨げになってしまうことを、気をつけるべき書き方のひとつに挙げています。裏を返せば、裏面をひと目見る習慣がつけば、表示にふりまわされずに選べるということでもあります。

次に売り場に立ったときは、大きな文字のとなりにある小さな表示も、ぜひのぞいてみてください。飲まない時間を、もっと自由に、もっと楽しく。

→ あわせてどうぞ:ノンアルコールビールの「原材料表示」の読み方

【参考文献・出典】
  • 食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)第3条第1項の表「添加物」の項 ― 「添加物に占める重量の割合の高いものから順に」表示。加工助剤およびキャリーオーバーは表示の対象から除かれる旨(一・二)。e-Gov法令検索で条文を確認
  • 同 第7条の表「糖類(単糖類又は二糖類であって、糖アルコールでないものに限る。)を添加していない旨」 ― 表示できる4要件
  • 同 第9条第1項第1号・第2号・第13号 ― 表示禁止事項(著しく優良又は有利であると誤認させる用語/表示すべき事項の内容と矛盾する用語/その他内容物を誤認させるような表示)
  • 同 別表第九 ― 栄養成分ごとの「0と表示することができる量」。清涼飲料水その他の液状の食品は100ml当たりで判定
  • 消費者庁「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」(令和4年3月30日)― 10類型。「食品添加物の不使用表示を一律に禁止するものではない」、該当の判断は「ケースバイケースで全体として判断する」、令和6年3月末までの表示見直しを求める旨
    ガイドライン本文(PDF)
  • 消費者庁「食品添加物表示に関する情報」― 10類型の解説資料
    https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_sanitation/food_additive/
  • 食品表示基準の一部改正(令和2年7月16日施行)― 添加物表示から「人工」「合成」の用語を削除(人工甘味料・合成甘味料・合成着色料・合成保存料・合成香料)。経過措置期間は令和4年(2022年)3月31日まで
  • 食品衛生法(昭和22年法律第233号)― 食品添加物の成分規格・使用基準
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